新聞やネットなどで「成年後見制度」を取り上げるメディアが増えてきた。葬儀業界では聞き慣れているが、一般の人々は、聞いたことがあるという程度、または全く知らないというのがほとんどだろう。1月30日には政府広報室が、「どんな制度かあまり知られていないが、必要な情報」として、「成年後見制度」をテーマにした記事を「政府広報オンライン」に掲載した。今回は、この資料をもとに、まだまだ認知度が低いこの制度について、あらためて確認しておきたい。

画像1

 

判断能力が十分でない人の権利や財産を守る

「成年後見制度」とは、どんな制度なのか。「政府広報」によると、認知症や知的障害、精神障害などのために判断能力が十分でない人の権利や財産を守るための制度と説明している。今後の暮らしのために本人所有の不動産を売りたい、福祉サービスを受けたいと考えている人や、遺産分割をしたいが高齢や病気などのため判断能力に不安があるといった人に利用してほしい制度だ。

画像2
「成年後見制度」は支援を受ける本人の判断能力によって区分される

 この制度について細かくみていくと、支援を受ける本人の判断能力によって、3種類に区分される。本人の判断能力が“全くない”場合を対象とする「後見」、本人の判断能力が“著しく不十分”という場合を対象とする「保佐(ほさ)」、本人の判断能力が“不十分”な場合を対象とする「補助」がある。端的にいえば、認知症が重度という状況が「後見」、中度が「保佐」、軽度が「補助」というイメージ。「後見」の援助者を「成年後見人」、「保佐」は「保佐人」、「補助」は「補助人」と呼ぶ。

援助の内容はこれらの区分ごとに異なり、「成年後見人」には財産管理についての全般的な代理権、取消権が与えられる。「保佐人」は民法13条1項に掲げられる借金、訴訟行為、相続の承認や放棄、新築や増改築などの特定の事項についての同意権、取消権が、「補助人」には申し立てにより、特定の事項の一部についての同意権、取消権が与えられる。

本人とその配偶者、四親等内の親族が家庭裁判所に申立て

制度を利用するには、本人が住んでいる地域を管轄する家庭裁判所に申立てる必要がある。申し立てができるのは、本人とその配偶者、四親等(本人からみて、父母・祖父母、曽祖父母、子・孫・ひ孫・玄孫、兄弟姉妹、甥姪、甥姪の子、おじ・おば・いとこなど)内の親族。身寄りがないなどという場合は、住まいの地域の市町村長が申立てることも可能だ。

必要な書類は、申立書、診断書(成年後見用)、本人の戸籍謄本。申立書や診断書の書式は家庭裁判所で入手するか、裁判所のウェブサイトからダウンロードできる。申立手数料は1件につき800円、登記手数料は1件につき2,600円で、いずれも収入印紙。連絡用の郵便切手も必要。

申し立て後、裁判所の職員が、申立人、後見人候補者、本人から事情を聞いたり、親族に後見候補者についての意見を照会することがあるほか、必要に応じて裁判官が事情をたずねることもある。また、本人の判断能力につては鑑定を行うことがある。

援助者となる「成年後見人」「保佐人」「補助人」は、本人の親族や法律・福祉の専門職、市民後見人から家庭裁判所が選任する。一人が選任される場合もあれば、複数選任される場合もある。市民後見人は、地方自治体などが行う養成研修を受講するなどして、成年後見制度に関する一定の知識や技術・態度を身に付けた一般市民のなかから家庭裁判所が選任した人となっている。

判断能力が不十分になる前は「任意後見制度」

このほか、本人に十分な判断能力があるうちに自分が選んだ代理人に生活や療養看護、財産管理に関する事務について代理権を与えて契約を結ぶ「任意後見制度」もある。契約は、公証人の作成する公正証書によって結ばれ、効力は、申し立てに応じて家庭裁判所が任意後見監督人を選出したときに生じる。

「任意後見制度」の公正証書作成手数料は、1万1,000円、登記嘱託手数料は1,400円、法務局に納付する印紙代は2,600円、そのほか、本人に交付する正本などの用紙代、登記嘱託書郵送用の切手代などが必要。

「成年後見制度」についての問い合わせは、各市区町村の「地域包括支援センター」、日本司法支援センター(法テラス)、「任意後見制度」は「日本公証人連合会」で対応している。

「成年後見制度」「任意後見制度」は、手続きに手間がかかるが、高齢者やその家族には、財産を守るために知っておいてほしい制度。加齢や認知症によって判断能力が衰えた高齢者を狙った詐欺や悪質商法による被害の防止にもつなげたい。

専門家に一番相談したい終活は「エンディングノートをまとめる」

電球交換やグルメ予約などシニアの暮らしサポート、朝日新聞社が提供

人生でやり残したこと最多は「旅行」、マクロミルが「終活」意識調査

ケアマネジャー8割が在宅での看取り経験、ターミナル期「1~3か月未満」27%

介護ロボットによる身体介護を肯定する人8割、「気を使わないから」