公正取引委員会は3月22日、葬儀の取り引きに関する実態調査報告書を発表した。

同委員会では、葬儀の市場において、葬儀業者と取り引きをする事業者に対して、取り引きとは直接関係ない物品の購入を要請するといった行為が行われていると把握。今回の調査は、こうした実情を踏まえて実施したという。

調査の結果、葬儀に関する一部の取り引きについて、葬儀業者による優越的地位の濫用規制上または下請法上の問題となり得る行為が行われている状況を確認。特に、特に仕出料理、花、返礼品・ギフトの取り引きにおいて、優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為がみられた取引の割合が30%を超えており、他の取引に比べ著しく高いという問題があぶり出された。

調査方法

葬儀業またはブライダル業を営んでいると思われる事業者を対象に調査票3,500通を送付。また、葬儀業またはブライダル業を営んでいると回答した事業者から報告があった取り引き先納入業者を対象に、調査票7,000通を送付。書面調査を実施した。


対象の事業者に調査票を送付し、書面調査を実施

葬儀業者と納入業者との取り引きの状況

「商品・サービスの購入・利用の要請」「採算確保が困難な取引(買いたたき)」「金銭・物品の提供の要請」「発注内容の変更(受領拒否を含む)」「返品」「発注内容以外の作業等」「従業員等の派遣の要請」など、葬儀業者から優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を1つ以上受けたと回答した取り引きは434取り引き。このうち、資本金区分から下請法の適用対象となり得るのは101取り引きだった。


優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為がみられた取り引きの状況(行為類型別)

 優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を受け入れた納入業者の割合は、取り引き年数が長いほど高い傾向にあった。また、優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を受け入れた納入業者の取り引き年数の平均値(18.7年)と受け入れなかった納入業者の取り引き年数の平均値(14.7年)には統計的に有意な差が認められた。

納入業者からの具体的回答事例

[1] 商品・サービスの購入・利用の要請
イベントのチケットやおせち料理の購入、互助会への入会など、さまざまな要請がある。葬儀業者側では取引先の納入業者の購入実績や入会実績を記録しており、実績が少ないと取り引きを減らされるため、不要なものでも要請に応じるしかない。

[2] 採算確保が困難な取引(買いたたき)
葬儀業者が消費者向け価格として設定した価格の75パーセントを納入価格とする契約で取引を始めたのだが,一方的に消費者向け価格として設定した価格の45パーセントにまで下げられてしまった。当該葬儀業者に対する売上高は、当社の年間総売上高の半分以上を占めており、今後の取り引きを考えると仕方なく受け入れている。

[3] 金銭・物品の提供の要請
葬儀業者が主催するイベントにおけるゲームの景品として、数万円分のフラワーアレンジメントの提供の要請がある。イベントにフラワーアレンジメントを提供しても直接当社の売上げにつながることはない。無償のため、当社にとって負担になるが、今後の取り引きを考えると要請に応じざるを得ない。

[4] 返品
通夜・告別式の後、返礼用の海苔の一部を自宅への弔問客用にということで施主の自宅に届けることがある。遅い場合、3か月以上も経ってから届けた返礼用の海苔が葬儀業者を通じて返品されることがある。返品された返礼用の海苔は風味が落ち贈答用としては使用できず、処分するしかないが、葬儀業者は代金を支払ってくれない。

[5] 発注内容以外の作業等
当社が仕出料理を葬儀場に届けた際や食器を引き取りに行った際、当社に関係するゴミだけでなく、葬儀業者のゴミの処分までさせられる。この業界では、葬儀業者のゴミを仕出料理業者が処分することが半ば当たり前のようになってしまっており、あまり疑問を持っていなかったが、よくよく考えるとおかしな話である。ただ、他の仕出料理業者も同様のことを行っているため、取り引き継続のことを考えると当社のみがやらないということはできない。


優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為がみられた取り引きの状況(取引内容別)

 仕出料理、花、返礼品・ギフトの取り引きにおいて、優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為がみられた取引の割合が30%を超えており,他の取引内容に比べて高くなっていた。

同委員会では、今後も葬儀に関する取り引き実態を注視し、優越的地位の濫用規制上または下請法上の問題となるおそれのある行為の把握に努める。また、これらの法律に違反する行為に対して厳正に対処していく方針を示している。